パーカーCEOのやたら腰の低い子供みたいな敬語の話
🌸May Iは相手に許可を仰ぐ丁寧な敬語
英語の丁寧語も日本語と同じで厄介だけど、スパイディのいいこ喋りは具体的でわかりやすいよ💗
🔔慇懃過ぎる丁寧語
【SMDP 2/ブロマンス/原書】
ピーター「Miss...? May I please have those ties? All of them? すみません…?どうかそのネクタイ頂けますか?全部?」
🔔「Miss/Mister. May I please have」は幼児に礼儀正しい言葉遣いを教えるのに使われる定番句。
親が子供に「人から物を貰いたい時は、礼儀正しくこう言いなさい」と教える幼児教育の躾けの定番句。
🍀【May I Please Have a Cookie?】
ワニママがクッキーを焼くけど、子ワニがきちんと「May I Please Have a Cookie? クッキーもらってもいいですか?」と言えるまであげないって3歳から6歳向け絵本。
ピーターは更に最初に「ミス」と呼び掛け丁寧さを加えて、腰の低さは3ちゃいおこちゃまレベルのゆるふわパーカーCEO…。
作家ケリー氏はこの台詞でCEOの部下への態度には不釣り合いな、ピーターの「すみません、ネクタイぼくにいただけますか。ぜんぶ???」とやけに「きちんと躾けられたお子様っぽい慇懃な礼儀正しさ」を出してるわけ!
pleaseの位置も丁寧度に関係ある、子供に「Miss/Mister. May I please」と一続きに教えるのはこの順番を守らせるため。「May I..., please」とpleaseを後付けにすると「付け足した感」が出るので、慇懃にしたい時は先に持ってくるのが正解。
🔔でも大人はただ物を手渡して欲しいだけで丁寧語でもここまで慇懃な言い方する機会余りない
こうして確実に慇懃な言葉遣いを守るのはきちんと躾けを受けた子供の方。だから「部下からネクタイを受け取るCEO」の口調と言うより、「お姉さんからクッキーを貰いたい行儀の良い子供」感がある。
こうした口調の特性をわかっていれば、邦訳のような傲慢口調にするはずがないです。
コマの意味を反映するためには翻訳にも敬語が必須の台詞。
それさえわかっていれば文字数制限がきつくても、むしろ「タイぜんぶください、お願い」とお子様っぽさが匂う単純口調にしたり、「それ全部くださいませ」と慇懃な敬語を使ってることコミカルに強調したり、正しく台詞やコマの意味が伝わる訳し方もできた。でもこれが慇懃な丁寧語であることをわかってないから、コマの意味も腰が低いピーターの人物像も把握できておらず勝手に傲慢口調に改変して誤訳になってる。そしてこの後も台詞解釈やキャラ解釈を(英語力不足が原因で)間違ってる誤訳がずっと続く…。
🍀丁寧な敬語なのがわかりやすい、他キャラが「Sir. May I」を使ってる場面も過去誌にあるよ。
【ASM 47/DP 11/プロローグ/原書】
[邦訳25頁]
女性「申し訳ありません、生憎ですがオズボーンは街を出ておりまして今週いっぱい戻りません!Yes, sir! May I ask who's CALLING? ええ、そうなんですの!お客様のお名前をお伺いしても?」
May Iにpleaseを付けてるピーターの方が更に丁寧で、この女性よりも腰が低い言い方。CEOよりホテルなどのサービス業の人が使う敬語。
🍀サービス業の人の「May I...sir」の敬語としての使い方のいい例はヴェノム誌の試し読みでも見られる。
【V 10】
店員「すみません、お客様?動物の入店は困ります」
エディ「ああ、ランディか?気にしないでくれ。介助犬なんだ。俺を落ち着かせるのに役立ってくれてる。俺は…不安障害を抱えていてね。PTSDってやつさ」
店員「そうでしたか、ええ、であればもちろん構いませんよ。And may I say, 僭越ながら、国防に尽力して下さったことに感謝致します sir.(*傷病兵への敬意として一般的な言葉)」
エディ「Oh, hey. Thanks, man.ああ、こりゃあ、どうも」
義理の弟「Dude, I don't think that's cool. なあ、ああいうのよくないって。犬入店させるために退役軍人のフリするなんてさ!」
エディ「犬じゃない(犬の姿したヴェノム)。退役軍人とも言ってない。PTSDがあるって言っただけだ。しかもある。前回神と戦ったんだ―」
VENOM 10 PREVIEW PAGE PENCILS, OUT NEXT WEEK pic.twitter.com/k4mxabN1cc
— ryan "venom boy" stegman (@RyanStegman) January 11, 2019
EDDIE BROCK Delves Into Daddy Issues in VENOM #10 Preview https://t.co/bMbUYhE0HM @Doncates @RyanStegman @Marvel pic.twitter.com/OqEYiTfoxl
— Newsarama (@Newsarama) January 10, 2019
店員さんは「May I...sir.よろしいですか?」と丁寧な言葉遣いで、弟は「Dude(男性への呼びかけ)なあ、おい」と砕けた言葉遣い。使ってる言葉が違うから、翻訳する時の言い回しも違う。
だって、この店員さんを「犬は禁止だ。国を守ってくれたことに感謝する」なんて上から目線で訳したら異様でしょ?場面にそぐわない。文字数制限があるからとかニュアンスの違いなんて問題じゃない。敬語でも勝手に場面にそぐわない傲慢口調に訳してることが異様。それを邦訳はスパイディでずっとやってる🤢
弟(仮)がエディに「Dude」と砕けた呼び方してるのも今時っ子にはごく普通のことだけど、SMDP誌でスパイディはデッドプールをいつも「ウェイド」ときちんと名前で呼んで、こういう砕けた呼び方なんてほとんどしない。他の使用単語も砕けた言葉を避けデッドプールに対しては同年代にするタメ口とはやや違う口調、礼儀を守ってる。でもデッドプールの方はスパイディや他の人にこうして「お前」と砕けた距離感で呼びかける。
🔔使用してる単語がカジュアルだったり、フォーマルな言葉遣いをしてたりで変わって来る関係性や場面がある。
だから物語上お行儀良い喋りであることが重要なスパイディを勝手に乱暴口調に改変しちゃいけないし、そんなことしたら話の辻褄が合わない誤訳を出すことになる。実際、こうして読者に本来のコマの意味や物語が伝わらなくなってるでしょ。この後も致命的な誤訳が続いて邦訳ブロマンス&イッツィ・ビッツィは物語が破綻しちゃってる。
そもそも英語ではこのいいこ喋りであることが特徴のスパイダーマンを、あんな乱暴口調にするなんてキャラ改悪がおかしなこと。616スパイディ誌ってどれも悪い言葉を徹底的に避けてるゆるふわいいこ喋りなのに、そんなことしたら話とどんどん辻褄合わなくなるの最初からわかり切ってる。
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