23号 続スパイダーマン/デッドプール:破壊兵器、売ります
【SMDP 23/破壊兵器】
●誤訳
自虐ネタ
(マルチタスクできないのか聞かれ)
ピーター「戦いながらジョークを言えるよ。僕にとっては"自然にできること"だけどね」
原文はいかにもスパイダーマンらしい自虐ネタ。
[原書:ファン私訳]
意訳:ピーター「僕だって二つのことを同時にやれるよ。戦いながら軽口言えるもん。…それしかできないけど…」
直訳:ピーター「僕は戦いながら同時に軽口言えるよ。それが僕の『二つのことを一度にやれる能力』の限界値」
確かに直訳だとちょっとわかりにくい文章なので、単純な誤訳?もしくは自虐をしょぼい自慢に代えて意訳したのかなと思いますが、邦訳読んでて会話流れが日本語として意味が取れず「???」となった部分で、もう少しわかりやすい訳も選択できたと思うので誤訳に分類しておきます。
●違い
お行儀良いスパイディ
[邦訳12頁]
ピーター「うん、そう。まさにそれ」
[原書:ファン私訳]
ピーター「(おねんねする時抱っこしてたぬいぐるみ抱いたまま)で、人探すの手伝ってくれる?」
ボビー「誰?」
ピーター「デッドプール」
ボビー「デッドプール。"あの"デッドプール?"世界中が血眼で探してる"デッドプール?」
ピーター「Any one of those would be fine. そのうちのどれでも結構です😌」
原文は「お飲み物は紅茶?コーヒー?麦茶もあるけど?」なんて質問に対する「その内のどれでも結構ですよ」なお行儀良い言い方してるのが面白さ。willにすれば「そのうちのどれでもいいよ」だけど、wouldと丁寧なのが面白いの。
●誤訳
スパイディを抱こうと狙ってるデッドプール
[邦訳19頁]
デッドプール「クレイ、俺の大親友にNetflixでも見せて落ち着かせてくれ 」
TVを見せろと言う指示は落ち着かせるためでなくセックスのためのムード作り
[原書:ファン私訳]
デッドプール「クレイ、俺の大親友、スパイダーマンにうちの『ネトフリでまったり(*そのままセックスに持ち込めそうな映画)』集見せてやってくれよ。ムード盛り上げようとしてんだ」
誤訳の原因は流行語の見落とし。
(「Netflix and chill 」を分けて訳してしまった初歩的な英文読解ミスが明白なので、意図的なスルーでなく明らかに誤訳)
『Netflix and chill ネトフリでまったり』=『セックス』の婉曲表現。
英語版ウィキペディア「ネトフリでまったりは、『ネトフリ一緒に見よう』という誘いもしくは、相手が恋人にせよ一夜の相手にせよ何らかのセックス行為の婉曲表現に使われるネットスラング用語(中略)2015年ネット流行語となりティーンSNSでの使用方法は通常『性的』なもの」
「俺の家でまったりネトフリでも見ようぜ(本音は「TVまったり見てる間にセックスに持ち込もう」と言う下心)」と気になる子を部屋に連れ込み、まったり映画見てる間にHに持ち込むこと。SNSでの使い方は「昨日会った子と『ネトフリでまったり(=セックス)』した」。
「スパイディと俺が『ネトフリでまったり(セックス)』できるムードを作れ」つまりデッドプールはホームシアターでムード作りしてスパイディ抱く気の発言‼️‼️
●誤訳
スパイディを『セックスする場所』に連れ込むデッドプール
[邦訳23頁]
デッドプール「(スパイディを上手く寝室に連れ込む)そして、ここが俺ちゃんの魔法の部屋 」
[原書:ファン私訳]
デッドプール「とうとうお前は愛を営む部屋に来たな」
スパイディ「ウェイド―(*性的ネタに反応できず、バスタブ浸かって固まった状態のままささやかな抗議)」
ここも誤訳の原因は流行語の見落とし/スルー。
●where the magic happens. ここが魔法が起きる場所=『セックスする場所』の婉曲表現
デッドプールが18頁で言った「MTV cribs セレブのお宅拝見」で寝室を紹介する時の流行台詞。他誌で同じこと言われた女子ニコが「それセックスってことでしょ?」とズバリ言っちゃうぐらいにはいかがわしい。(*ニコは海外ドラマ『マーベル ランナウェイズ』の主役の一人)
[直訳]デッドプール「Finally, you get to see where the magic happens.: (スパイディを言葉巧みに部屋に連れ込み)とうとう、お前は魔法が起きる場所(俺の寝室=俺がセックスする場所)を見られるぜ(=見に来れたぞ)」って直訳を、恩着せがましさと如何わしさ両方きちんと入れた綺麗な訳にできない…。
(俗語辞典)urbandictionary「This is where the magic happens ここが魔法が起きる場所:[意味]ここが俺の寝室。ここでセックスする。俺はセックス上手いよ」
口ごもるスパイディの反応と併せ、ここは「セックス」をきちんと匂わせる翻訳が望ましいかと。
性的ネタに対応できない清純派スパイディは居た堪れず、バスタブから顔も上げられない&ツッコミもできないまま、抗議の意味で「ウェイド―」と名前を呼ぶことでささやかに抵抗してる。
こうしてちょっとHなこと匂わされても、スパイディは「Dude! おい!」なんてツッコミ口調にはならない。呆れがち、躊躇いがちに「ウェイド―」と名前呼ぶだけ。邦訳みたいな「おい、お前!」なんて砕けた口調はほとんど取らない。こうして性的ネタを遮ったり黙り込むから、デッドプールには「清純派・聖処女」と呼ばれてるスパイディです。
●対訳+らくがき
[邦訳13頁/14頁/23頁]の台詞とマッシュアップしたらくがき
原書の雰囲気を感じて貰えるよう、原文と対訳を載せているのでよかったら見比べてみてください。
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